日野皓正

 中学生をビンタした事件が報道されています。私は、日野さんは反省し社会に対し謝罪すべきだと思います。

 この問題は二つの側面に分けて考えるべきでしょう。日野さんと中学生の関係、日野さんと社会の関係です。日野さんと中学生の関係では納得されていることだと思われるので、それはいいとしましょう(本人たちが気付かないうちにパワハラの構図が出来上がっている可能性もありますが)。それでは、日野さんと社会の関係で、多くの人が見ている中で子供に体罰を加える行為が問題なかったといえるでしょうか。学校で教師があのような体罰や暴言を行なえば、大きな問題になります。それにあの場はお金を取ったコンサートでした。壇上で罰を与えなければいけないような生徒に演奏させたのであれば、指導力が足りなかったと来場者に謝るべきではないでしょうか。「ハプニングがジャズです」というのであれば、そもそもあの時罰する必要がなかったことになります。

 生徒を指導していると、正直腹立つことはあります。先生たちはそれをグッとこらえて、できる限り冷静に指導しているのです。カッとして体罰することが堂々と認められるようであれば、「愛があるから体罰をやっていいんだ」と勘違いする指導者や親を増やすことにつながりそうで心配です。

 どの分野でもそうでしょうが、自分がうまくできるということと、指導者として優れていることは別物だと改めて思いました。